こんにちは。ENTiP 弁理士・行政書士の 山中です。

最近のニュースで、大変ショックを受けたのが、こちらの訃報です。

「SMAP×SMAP」「笑っていいとも!」手がけたフジ黒木彰一プロデューサー死去、54歳(日刊スポーツ)
https://www.nikkansports.com/entertainment/news/202402140000450.html

フジ定例社長会見 13日死去の黒木彰一ゼネラルプロデューサーを哀悼「本当に大きな仕事を」(日刊スポーツ)
https://www.nikkansports.com/entertainment/news/202402160000671.html

レコード会社には長年在籍していたものの、それほどメジャーでない洋楽アーティストの制作を多く担当していたこともあって、CXことフジテレビ(、いやそもそも地上波テレビ局自体)に足を運ぶことは数えるほどでした。

しかし、そんな自分含め、エンタメ/音楽業界で、黒木彰一プロデューサーのことを知らない人はいませんでした。

その訃報に接し、多くの関係者が語っているとおり、マイケル・ジャクソンや、レディー・ガガといった世界のスーパースターに限らず、国内外の優れたアーティスト(※一般的には「マニアック」と呼ばれているジャンルのもの含め)を、心から愛していらっしゃった方です。

自分の接点は本当にわずかなのですが、だからこそ思い出深い、黒木さんの番組に関するエピソードがあります。

レコード会社の後、コンサート・プロモーター「キョードー東京」に移り、主に洋楽の興行(※招へい業務。現在、行政書士としておこなっている、興行ビザ取得の支援も、このときスタートしています)に携わった私は、共同主催者として、テレビ局各社(主に事業部のみなさん)とお近づきになっていきましたが、CXさんとも、「ザ・ローリング・ストーンズ」の主催で、ご縁ができました。そんな折、2014年に久々にライヴで招へいすることになったのが、

リック・アストリー(Rick Astley)です。

80年代後半、一世を風靡した「Stock, Aitken, Waterman」のチームによるユーロビート・サウンドに乗せて、幼げなルックスからは想像できないソウルフルな声で、世界中のラジオからダンスフロアを席巻した、イギリスの男性シンガーですね。自分も、高校生の頃から、その音楽に長く親しんできた世代です。

そのジャパン・ツアーの共同主催を、どこのテレビ局にお願いするか…というときに、私の頭にあったのは、黒木さんの存在でした。

80’s洋楽スターに優しかった黒木さんですから、「スマスマ(「SMAP×SMAP」)」から、声がかかるのではないか、と思ったのです。もしそうなったら、やはりツアーの主催局も同じCXさんのほうが、スムーズに行くでしょうからね。

無事ツアーが発表されると、期待どおり、黒木さんから

「リックを『スマスマ』にゲストで呼べないでしょうか」

というオファーをいただきました。放送は当然、来日後になってしまうため、事前にツアーの告知を入れてくださるというご配慮。日本の招へい元的には、ガッツポーズ並みの嬉しさでしたが、

やはり海外のアーティストを日本のメディアに出演してもらうときは、その番組の影響力などを伝えなながら、承諾してもらう必要があります。しかし、「スマスマ」なら、番組に過去に出演したスーパースターたちの名前を伝えるだけで、即OKです。

実際に来日してわかったのですが、リック本人が人格者(※若くて忙しいときはどうだったかわかりませんが、いろいろな経験を経ていますからね)であるのに加え、マネージャーを兼ねている奥様が、輪をかけて人格者+エンタメ業界でも経験が長いため、公演中の宣伝活動にも、とても理解があったんですね。

(中央筆者。左はマネージャー兼奥様。見送り時に、ご本人たちから「写真撮ろう」と言っていただいた気がします)。

通常は、地上波テレビ番組に、(日本のテレビのルールもよくわかっていない)洋楽アーティストを連れていく現場は、トラブルも起きがちで緊張するのですが、そのときばかりは終始和やかムード。英語が堪能なCXの事業部スタッフの助けもあり、スムーズに収録が進みました。

そして、これはトーク・パートの収録中に自分も初めて知ったエピソードだったのですが、SMAPがレコード・デビュー前、リックの曲をカヴァーして、よくイベントなどで歌っていたのだそうです(※リックのデビューが87年7月、SMAPの結成が88年4月だそうですから、確かに時系列が合いますね)。最年少の香取慎吾さんなど「てっきり、この曲(リックのカヴァー)でCDデビューするんだと思っていた」と話されていました。

収録ではリックの曲を共演。わずかな時間でダンスを合わせてしまうSMAPの凄さを目の当たりにしましたが、メンバーが思い思いに、懐かしさを感じながら踊っているようにも、自分の目には映りました。

こうして、自分には縁がないと思っていた、黒木さんプロデュースによる「スマスマ」との、素敵な思い出ができたのでした。

なお、2014年のツアーでは、リックの「80’sスター」としての側面を押し出したプロモーションをせざるを得なかったのですが、

近年の活躍は非常にユニークで、「サマソニ」などでは、オルタナティヴ・ロックの雄 FOO FIGHTERSと共演したり、

80年代を代表するニュー・ウェイヴのバンドであり、解散後も根強い影響力を誇るTHE SMITHSの楽曲を、彼よりは遥かに若い BLOSSOMSとカヴァーするツアーをやったりと、既存概念にとらわれない活動を見せています。

また、その大人っぽい声が似合う年齢となり、近年リリースするアルバムは、軒並み全英1位を獲得しています。

リックの来日公演は、2020年3月に予定されていたものが、(東京まで来たにもかかわらず)コロナ禍で中止となってしまいましたが、ぜひまた実現してほしいと願っています。もう黒木さんに見ていただくことは叶いませんが、彼のパフォーマンスを見れば、必ず「スマスマ」のあの日のことを自分は思い出すのでしょう。

黒木彰一さんのご冥福を、心よりお祈り申し上げます。
音楽業界の端っこにいたものとして、また音楽が大好きな一視聴者として、多くの素晴らしい作品を、ありがとうございました。