こんにちは。ENTiP 弁理士・行政書士の 山中です。
前回、ベルセバ(ベル・アンド・セバスチャン)について書いた記事でも軽く触れたのですが、
https://entip.jp/topics/224/
ここ数年、噂としては何回も耳にし、またしばらく前から世界の熱心なファンや、メディアからの「信ぴょう性の高い」推測記事から、半信半疑、いや、嘘だった時の自分の失望への予防線として多少の疑念は抱いていたものの、ほぼ願望ありきで信じていたニュースが、8/27、ついに正式に発表されました。
oasis(オアシス)の再結成の報です。
2ヶ月近く前の話を今更するの?と言われるかもしれませんが、まだ興奮と緊張は続いていますよね。だって、
東京公演の詳細発表がまだ(でも、もうすぐなはず)なんだから。
すでに公演が行われること自体は発表されているものの、具体的な日時と場所がまだで…ただ(地理的に、日本公演の前になるであろう)オーストラリア公演は、今月上旬に発表されたのです(2025年10月31日がメルボルン、11月1日がシドニー)。そうなると、東京(と韓国)の日程は、いつ発表されてもおかしくない状況と言えるでしょう。
<詳細が正式発表されたら、ここに追記しようと思います!>
ここからしばらく、私的なエピソードを。彼らがデビューした94年、自分は社会人1年目でした。音楽(主に洋楽)ばかり聴いていた大学の4年間でしたが、あえて音楽業界に対しては就職活動せず、一般企業(旅行会社)に入社したのですが…当然「最大の趣味」として熱心に洋楽は聞き続けていました。
特に、80年代からイギリスの音楽をヒットチャート中心に聴き続けてきた自分にとって、91年頃から「ロック」や「バンド」の新しい才能が増えつつあり、喜ばしく思っていたところに、鳴り物入りで登場したのが、マンチェスター出身の彼らでした。
しかし、自分のセンスの無さか、最初の2枚のシングルはピンと来ず、あまり期待せずに耳にした3rdシングルで、一気にその印象が変わりました
今でも大好きな曲ですが、このシングルの直後に発売された1stアルバムで、完全に心を掴まれました。しかし、その時点で、既に発表されていた同年9月の初来日公演はソールドアウト。彼らのライヴを体験するのは、翌95年8月になったのですが、これまた個人的に思い出深いんです。
旅行会社の社員として、ヨーロッパへの一般的なツアーの添乗をしたのですが、最初の滞在地・ロンドンでは、歴史的なこの結果が発表されるタイミングでした。
ロンドン市内観光の定番「ウィンザー城観光」からホテルに戻り、お客さんと一緒にディナーを取るまでのわずかな時間、BBC Radio1「UK Top 40」をつけて、あえて同じ週にリリースされた、オアシス vs ブラーのシングルのチャートバトルの結果を確認したのでした(ブラーの「Country House」が、オアシス「Roll With It」を僅かに上回り勝利)。お客さんには言えませんでしたが、非常に興奮したままディナーの席についていました。
8泊ほどのそのツアーは(自分のミスもあったのですが)、あらためて「旅行業は自分に向いていないな」と確信する機会にもなってしまいました。そんな思いと共に、解散した成田空港で私服に着替えると、直行したのは恵比寿ガーデンホール。初めて体験したオアシスのライヴでした。
演奏される全てが名曲な中、オーディエンス全員が熱狂的なファン。笑顔で真がロングロング&おしくらまんじゅう(※モッシュ、って感じじゃなかった)。もう30年ぐらい前の話なのに、未だに昨日のことのように思い出される、自分の無数のライヴ体験の中でもトップクラスに思い出深いものです。
ただ、その後、ずっと熱心なファンだったわけではありません。日本でも大ブレイクを果たし、3rdアルバム発表後に行われた98年の武道館公演は「本当のファンじゃないお客さんが多そう」なんて子供っぽい理由で行かなかったし、その後のアルバムの全てをしっかり聴いているとも言えないし、(フェス含め)見た公演の中では、ちょっとがっかりしてしまう時もありました。
しかし、自分の若い時、それも音楽業界に入る前の“純粋な“ファンの時代に、熱狂させてくれたアーティストです。そして、前述の95年のライヴ体験は、間接的にですが、自分に「やっぱり、音楽に寄り添った仕事がしたいな」と決意させてくれた、きっかけの一つだったような気がしているのです。
(96年春の筆者。アメリカ旅行でイキって oasis Tシャツ着ていました)
思いの外、長くなった兄弟喧嘩=解散状態から、ついに雪解け、再結成するとなれば、自分の原点(の一つ)として、彼らのライヴをもう一度体験したいな、と強く思っています。吉報を待ちたいと思います。
<こちらのイベントもおすすめ!>
「リヴ・フォーエヴァー:Oasis 30周年特別展」(2024年11月1日〜11月23日)
https://oasis-liveforever.jp/
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さて、(ここまでもだいぶ長くなってしまったのですが)同じ時期に目にした、こちらもレジェンド英国、それもオアシスの先輩となる年代のバンドのニュースがあります。しかし、こちらは残念なものでした:
◎ザ・スミス、再結成オファーにモリッシーは同意するも、ジョニー・マーは無視(BARKS)
https://www.barks.jp/news/?id=1000250484
日本にも熱心なファンの多い、THE SMITHS(ザ・スミス)。ヴォーカリストであるMORRISSEY(モリッシー)の「詩の世界」に心酔したファンも多いと思うのですが、自分はむしろ、(MORRISSEYのヴォーカリストとしての魅力に加え、)ギタリストのJOHNNY MARR(ジョニー・マー)による、独創的かつキャッチーなギター・リフに惹かれて、彼らのベスト盤を「優れたポップソング集」として何回も聴いていたというリスナーです。
MORRISSEYのソロ公演や、他のプロジェクトに参加してのJOHNNY MARRのプレイは、幸い目にしていますが、THE SMITHSとしては来日公演は実現しなかったので、もし両雄並び立っての再結成来日公演があれば、オアシス再結成と同レベルで、体験したかったのは事実です。ただ、両者の関係の難しさは想像に難くないので、「やっぱり無理なのかなぁ」と納得してしまう自分もいました。
ただ、その後の続報は、弁理士の視点でも、見逃せないものだったんですよね。
◎モリッシー、ジョニー・マーがザ・スミスの名称の権利を取得したと主張 「マーは彼が選んだシンガーを使ってザ・スミスとしてツアーできる」(ammas)
◎ジョニー・マー、ザ・スミスの再結成ツアーを無視したとするモリッシーの主張に回答(NME JAPAN)
https://nme-jp.com/news/147580/
これはもう、どちらの意見が正しいのかはわかりません。両方とも正しいのかもしれません。
ただ、ここで言えることは、確かにバンド名は、「音楽の提供」「音楽の興行の企画・運営又は開催」あるいは各種マーチャンダイジングの商品の「商標」として機能しますし、商標登録することで「商標権」を取得すれば、その独占的な使用やブランド力を保護することが可能です。
しかし、どのように「保護」するのか、そして保護と表裏一体である「活用」はどのようにするのか。そしてその判断は、バンドの成功を担った当事者たち全員の合意によってなされてほしい、と思わずにいられません。
私が籍を置いている「ONION商標(知的財産事務所)」でも、バンドの商標登録を推奨しています。ただ、「商標権は、取得しさえすればOK」というものではなく、バンドと所属事務所、バンドのメンバー間での協議・合意が極めて重要です。
【本当はコワイ商標の話】音楽アーティストが、商標登録をすべき「これだけの理由」【ONION商標】
https://onion-tmip.net/update/?p=1920
うまくいっているときに、「もし解散したら、そのときバンド名はどうする?」というような話し合いには、あまり積極的になれないかもしれません。ただ、契約や覚書は、(「想像を超える成功」も含め)「もしものとき」を想定して、念の為定めるものだと考えます。バンドは自身のために、そしてファンのためにも、商標権への意識と理解をもってほしいなと思います(←いくらでもお手伝いしますので)。