こんにちは。ENTiP 弁理士・行政書士の 山中です。

8/27、oasisの再結成の報で(自分も含め)盛り上がった日の夜、NHK「うたコン」で、ドラマ「虎に翼」の劇中歌(メインテーマ) “You are so amazing”が、作詞作曲をされた森優太さんと、vo.を務めたベル・アンド・セバスチャンのスチュワート・マードックの共演で演奏されました

https://www.youtube.com/watch?v=TRWR1BXm1-c

(自分はNHKプラスで見ました。配信期限 :9/3(火) 午後8:42 までだそうです)
https://plus.nhk.jp/watch/st/g1_2024082717270

これがいたく感動的だったものですから、つらつらと書きたくなりました。

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制作担当として、ベルセバの楽曲にはずいぶん邦題をつけました。原題と全く関係がないものもありますが、それらも対訳をしていただいてから、熟慮の上でつけたものです(※逆に、熟慮の末、原題、それもカタカナにすらせず、英語表記のままでリリースしたものも結構ありますが)。

90年代後半は、邦題をつけなければラジオで紹介してもらえないような時代ではもはやありませんでしたが(※そもそも、日本のラジオでそんなにOAされるアーティストではなかったけど)、

外資系CDショップでは大きく展開してもらえるアーティストでしたので、(輸入盤もあるのに、敢えて)国内盤を手にとってくださった方に、いかに内容に興味をもってもらうか、というのが邦題の主目的でした。お店のキャッチなんかも、邦題を尊重してもらえるので、アーティストのイメージを構築することにも繋がりましたしね。

さて、そんな邦題をつけるにあたって意識したのは、当然、当時の邦楽のタイトルもそうなんですが(※00年前後はまだ洋邦オルタナ両方を聴くリスナーも一定数いた中で、「邦楽アーティストがつけないようなタイトル」をつけるわけにはいかないよ、という緊張感)、

もう一つ意識したのは、映画やドラマのタイトル/邦題です。ベルセバの楽曲は、短編映画・小説のようにストーリー性があるもの、情景が浮かぶものが多かったので、同じようなテイストの邦題をつけたかったのです。

それから時間がたって(※自分が担当したのは、デビューから2011年までなので、もう担当を離れてからも10年以上経ちますが)、かつての担当としての漠然とした夢があって、それは、「ベルセバ好きな方が、立派な作家や脚本家、映像関係者になられて、いつか『彼らの邦題をタイトルにしたドラマや映画』ができないかな」というものでした。恥ずかしいから誰にも言ったことなかったけど。

そこで、「虎の翼」なんです。この挿入歌”You are so amazing”は、自分の前述の「夢」が、むしろ良い方に変化しながら、実現したように感じているのです。

森優太さんは直接存じ上げないのですが、ドラマにとって最高の楽曲を創作され、そして(スタッフの方々と共に)スチュワートにオファーをしてくださったこと。一部のベルセバ・ファンが、森さんの作品なのにスチュワート作だと誤解するほどに、見事なコラボレーションになっていることに感服しています。

そして、そのオファーを、スチュワートが受諾してくれたという事実の大きさ。自分(達)以外の作った楽曲を取り上げるなんて異例ですよね。それも、ドラマ・音楽両方の作品をしっかり受け止めて、その良さ・意義を理解してくれたということでしょうけれども、その前提として、この20年くらいで築かれた、日本との関係性があると思うんです。

かつては、インタビューもほとんど受けず、日本ツアーなんて夢のような存在だった彼(ら)が、徐々に日本のファン、メディア、ジャーナリスト、そしてアーティスト達の、とても真摯に音楽に向き合う姿勢を知り、この国に親近感と信頼感を持ってくれたことの、最高の結実がこの作品なのではないかと。サマソニでの演奏(※LEDでの番組映像の許諾は嬉しいサプライズでした)、そして「うたコン」での共演を見て、あらためてそう感じた次第です。

さて、ベルセバは熱心なファンに支えられてきましたが、一番売れたアルバムでも5万枚程度なので(※そんな作品が多数あるのが強みではあるけど)、世間一般から言えば、知る人ぞ知る存在だったと思います。そんな中、ベルセバやスチュワートのことを全く知らない方が、ドラマを通じてこの曲に心を揺さぶられているようです。

そこで、新しく彼のことを知った人に、ベルセバの作品にも触れてもらえたら嬉しいな、と思って、簡単なプレイリストを作ってみました。なるべく”You are so amazing”のテイストに近い曲を選んでみましたが、いかがでしょう。

日本にはもっとベルセバのことを好きな人、愛しているファンがいらっしゃるので、同じ観点でももっと素晴らしいプレイリストが作られるかも。いや、ぜひ作ってくださいみなさん。

そして、聴いていてちょっと飽きたら、ぜひそれぞれのアルバムやEP、シングルに寄り道してみてほしいですね。実はベルセバの音楽性はとても多様で(※スチュワート以外にも素晴らしい才能をもったシンガー、ソングライター、インストゥルメンタリスト達から成る楽団ですから)、さまざまな世代の、さまざまなジャンルのファンを、そしてさまざまな状況に置かれた人々を抱擁してくれる優しさと懐の深さを持っていますのでね。

ここからさらに、ベルセバと日本(のリスナー)との関係がますます深まっていくことを、切に願っています。

#虎に翼 #森優太  #StuartMurdoch #ベルセバ #BelleAndSebastian