こんにちは。ENTiP 弁理士・行政書士の 山中です。
今年は、かつて仕事で関わったアーティストの活躍が多くて、大変嬉しいのですが、担当したアーティストの中でも「最も厄介」かつ「最もチャーミング」な存在だった彼らの話題です。
ザ・リバティーンズの新作アルバム『All Quiet On The Eastern Esplanade』全英初登場1位(Udiscovermusic.jp)
https://www.udiscovermusic.jp/new-releases/libertines-all-quiet-eastern-esplanade-out-now
嬉しいですね。このアルバムは、ベスト・アルバムを除くと通算4作目のアルバムなのですが、本国UKで1位を獲得したのは、2004年の2ndアルバム『THE LIBERTINES』(※当時の邦題は『リバティーンズ革命』)以来、ちょうど20年ぶりなんだそうです。この曲が入っていた作品ですね。
彼らがデビューした2002年頃、私は東芝EMIというレコード会社で、ディレクターとかA&Rと呼ばれる仕事をしていたのですが、海外のEMIグループが契約した洋楽作品(※日本での発売権は、東芝EMIにある)や、邦楽アーティストの作品のほか、
「海外のインディー・レーベルの作品」
の日本配給権を獲得して、リリースするという仕事もよくやっていました。英米でヒットしているに越したことはないけれども、たとえヒットしていなくても、日本の市場(リスナー)に向いている作品であれば、積極的に発掘、契約をしていました。
そんな中、自分の担当アーティストをよく紹介してくれていた、各音楽専門誌の編集者の方々が、
「ぜひ契約して、日本で紹介してください!」
と口を揃えてプッシュしていたのが、彼らでした。当時は”ガレージ・ロック・リバイバル”というムーヴメントがあり、世界中からクールなバンドが登場する中、彼らもそのムーヴメントの代表格と紹介されましたが、彼らからは70年代の「ロンドン・パンク」の系譜も感じられ、イギリス好きな自分としては、強く惹かれるものがありました。
すると、いち早く彼らに注目した「サマーソニック」が、日本デビュー前にもかかわらず招聘を決定し、生の彼らを確認できることになりました。
ライヴの印象ね…なんか、
演奏してんだか、喧嘩してんだか、よくわからない(苦笑)。
でも面白いし、華はあるし、そもそも自分は「売れる」と思ってたんで、契約のオファーはしたかったんですが、一緒に見に行っていた上司がどう思うかな…という心配をしていました。
そして、30分強ぐらいの演奏が終わり、上司に「どうでした?」と恐る恐る聞くと、元々ロックンローラーでパンクスな上司、自分以上に興奮しながら、
「こいつら面白ぇよ。絶対(契約を)獲ろう!」
と言ってくれたのでした。元々、他のバンドでつきあいがあった、Rough Tradeというインディ・レーベルでしたし、
参考記事【レーベル・ロゴの世界】第2回「Rough Trade」
https://logoto-r.com/57/
こちらもいい条件でオファーしたので、無事契約、そして日本発売となりましたが、その後もいろいろありました。何回かライヴ・ツアーやフェスで来日を果たしましたが、その度に「ネタ(とんでもないエピソード)の宝庫」。ここでは書けない、書ききれないのですが、1つだけ。
2003年春のジャパン・ツアーの最中に、あるファッション誌向けのフォトセッションをやったんですね。誰でも知っているジーンズ・ブランドとのコラボ企画で、撮影用に特別に用意してくれた、ビンテージのジーンズやジャケットを着てのものでした。無事に撮影は終わり、「残念ながら、着ていただいた服は1点モノなのでお返しください。代わりに新しいジャケットをプレゼントしますので」とブランドの広報担当者。みんなシブシブ服を脱いだはずが…
「すみません、ボトムスが一本足りません!」
と。今度は我々がメンバー一人一人に確認すると、みんな「脱いだよ!」とイラッとする中、ひとりだけニヤニヤしている奴が…ピート・ドハーティ君です。どうやって隠し持っていたのかというと、借り物のビンテージ・ジーンズの上に、さらに自分のタイトなジーンズを重ね着するという(苦笑)。問い詰めると、言い訳が
「洗って返す」
だったので、こちらも吹き出してしまい(苦笑)、ブランド担当者に確認の上、経費で購入してプレゼントしたのでした。
このエピソードに直面してるが故に、 CD店でパクるシーンがあるこのMVも、リアルだったんだよなぁ。
さて、前述のピートのドラッグ問題を起因として、その後のバンドの歴史は複雑な経緯を辿りますが(※日本語のWikipediaが詳しいです)、幸いにもピートは命を落とすこともなく、2015年には3rdアルバムを発表、その後はコンスタントにライヴ活動を続けます。
自分も「久々に、彼らのライヴを見たいなぁ」と思い続けていたところ、2022年の「サマーソニック」に、彼らがブッキングされたのです。
チケットを購入し、「本当に来てくれるのだろうか」という不安を心の奥に押し込みながら、その日を待ったのですが…残念ながら
直前で「来日中止」
となってしまいました。こちらの記事では、メンバー(ドラマーのゲイリー)のインタビューがありますが、
ザ・リバティーンズが明かすサマソニの真相と本音。ゲイリーに訊く日本への思いと再結成後の決意(CINRA)
https://www.cinra.net/article/202210-thelibertines_ysdmscl
やはり原因は、UKでドラッグ関連の犯罪歴があるピートに、興行ビザの取得を認める、在留資格がおりなかったためでしょう。
自分もかつてはコンサート・プロモーターとして、また現在は行政書士として、興行ビザに関わっているのでわかりますが、犯罪歴がある外国人の入国は、「不可」というのが原則です。ポール・マッカートニーや、ザ・ローリング・ストーンズ(の二人)などは、犯罪歴がありながら来日公演が認められていますが、やはり社会的要請の大きさ、最後の犯罪歴からの年数もあって、入国が認められるようになった「例外」ということなんでしょうね。
さて、最近の、ピートと、もう一人のフロントマンであるカール・バラー(※この人ともたくさんエピソードがありますが…)の最新インタビュー映像がこちらです。
ピートもずいぶんと恰幅がよくなってしまいましたが、かつて彼らに熱狂し、心を揺さぶられた者としては、いろいろあった彼らが今もオリジナルの4人で活動を続け、素晴らしい作品をリリースし、そしてそれを受け止めるファンが(本国で1位に導くほどに)今も大勢いることに、感激せざるを得ませんでした。
さて、そんな彼らの最新アルバムにも記されていますが、
バンドロゴ、1stアルバムから変わっていません。
マーチャンダイジングなど、さまざまな商品の「ブランド」となるアーティスト・ロゴは、当然、商標登録の対象です。
【ロゴマーク】ケミカル・ブラザーズに学ぶ、アーティスト・ロゴの重要性【商標登録】https://logoto-r.com/1219/
商標登録をすることで「商標権」が得られ、独占的で安全な使用が可能となるだけでなく、そのロゴに積み重なるブランド力を、無形資産とすることができます。
ENTiPが提携する、「ONION商標」では、アーティスト・ロゴの商標登録の経験が豊富です。ぜひお気軽にご相談いただければ幸いです。